抗不安薬や抗うつ薬の違いが分かるという人は少ないと思います。自分が飲んでいる薬はちゃんと理解しておきたいですよね。
今回は「うつと不安の違いは?」をテーマに書いていこうと思います。
うつと不安は全くの別物
うつと不安は全くの別物でございます。
うつは気分の落ち込みや憂鬱な気分と興味・喜びの喪失があります。興味・喜びの喪失は自分が好きだったことに興味がなくなってしまう状態です。このような状態をうつ状態と言います。
不安は文字通り不安なのですが、先のことが心配で仕方がない、いてもたってもいられない。不安な気持ちが湧き上がってきてジっとしていられないといった状態が不安です。
うつは精神運動抑制があります。精神のエネルギーが減ったような状態。
不安だといてもたってもいられないといったようにジっとしていられない状態が不安です。精神運動興奮に近いです。
【重要】うつの患者さんでも不安が合併することがよくあります。うつ状態でも不安が強まることもあります。全く別の症状でも合併して起こることもあります。
抗不安薬と抗うつ薬の違い
抗不安薬と抗うつ薬は全く違います。
抗不安薬の代表的なものでいうとベンゾジアゼピン系の抗不安薬なのですがベンゾジアゼピン系の抗不安薬はベンゾジアゼピンリセプターに付着して不安を減じる。鍵穴に鍵を差し込んでねじることで不安が落ちるような機序です。
一方、抗うつ薬はSSRIが抗うつ薬の中で最も使われているものです。
【SSRI】選択的セロトニン再取り込み阻害薬ということでセロトニンの受容体作用します。セロトニンは分泌された後に取り込むのですが、その取り込み口に栓をすることで取り込めないので池に水を溜めるようなイメージでセロトニンを溜めます。出口を塞ぐことによってセロトニンの濃度を高めるのがSSRIです。
なのでこの二つは作用機序が全く違います。ベンゾジアゼピン系の抗不安薬は薬を飲んでから10分~30分で効果が出てきます。SSRIにおいては効果が出るまでに2~3か月かかると言われています。SSRIは毎日飲まないと効果が出ません。1日おきに飲んでも効果は出ません。抗不安薬は飲めばスグに効く薬ですので常に不安がある人は毎日飲んだ方が良いでしょうけれど、不安が時々出るという人はそのたびに飲めばいいといった感じで飲み方も違ってきます。
うつが強い人は大うつ病という診断名がつきます。不安が強い人は不安障害という診断名になりますので基本的に全く違う病気になるわけです。
ただ病気以外に症状として、うつ症状と不安症状という場合でいうと不安障害の人がうつ的になることもありますし、うつ病の人が不安を呈することもありますから両方が重なって出ることはよくあるので、それはそれとして覚えておくと良いと思います。
今回のまとめ
うつと不安はよく使われる言葉ですけれど、その言葉の違いを説明しました。おそらくこの言葉の違いを説明している人は世間的に少ないと思うので、知らなかった方も多いと思います。
皆さんも「こういう違いがあるんだ」と自分は不安の方だな。自分はうつの方だなと自分の状態も分かりやすくなると思いますので、ぜひ参考にしてください。